My徒然日記帳

スナップショットの感覚で世の中の事象をとらえ、浮かんだ考えを気ままに綴っていきます。

旧車の楽しみ

自転車に凝りだすと、昔の自転車(旧車)が欲しくなってきたりします。昔を懐かしむというよりは、例えばロードレーサーであれば、名選手が乗っただとか歴史的名勝負で使われた自転車とかの、いわゆる名車とされる自転車を所有して、実際に乗ることによって当時に思いをはせたりするわけです。いわゆるヴィンテージと呼ばれているものですが、自転車乗りの中には趣味として楽しんでおられる方が結構います。若い人は性能への要求から最新型の軽量で高性能なカーボンフレームの自転車を選ぶ事が多いと思いますが、わざわざ重くて実用度が低い旧車に乗って喜んでいるわけです。

DEROSAの旧車(70年代) MOLTENIチームカラーにレストア。コンポはヌーボ・レコード。

ロードレーサーの場合はイタリア車、ランドナーとかスポルティフなどのツーリング用自転車の場合はフランス車が多いです。イタリア車の有名どころではビアンキ、チネリ、コルナゴ、デローザ、レニャーノ等(以前のイタリアはものすごくたくさんの小さな工房が有りました)。フランス車の場合はルネ・エルスとアレックス・サンジェなどです。旧車はヴァイオリンで言うストラディバリみたいなもので、作り手が亡くなると入手困難になって、価値が高くなります。欧州では古い物ほど価値があるとよく言われますね。

フランスの旧車をモチーフに軽量チューブ8630Rで製作したグランボア(親方謹製モデル)

現代の自転車は手元変速と言って、ブレーキレバーに変速機が内蔵されていて、素早いシフト・チェンジをすることが出来ますが、これは日本のシマノの発明です。それまでの日本の部品メーカーは、イタリアのカンパニョーロとかフランスのユーレー、サンプレックスとかの歴史の古いメーカーの模倣をやって、技術的に追いつこうと頑張っていました。シマノは手元変速の考案によって、立場を逆転してしまうという凄いことをやってのけました。NikonとかCanonのレンズがLeitzとかZeissを光学性能で抜いてしまったのと同じです。でも技術的に追い越したとしても、モノとしての価値というのは別次元のものです。芸術品/工芸品として観た場合には、NikonとかCanonの最新型レンズよりもLeitzとかZeissのオールドレンズの方が何倍も価値が高いわけです。自転車の部品も同様に、古いものは希少性も手伝って、古ければ古いほど価値が高いといえます。そして次代の人にに伝え残さなければならない宝物であると思います。

古い形にこだわったMAKINO製スポルティフ。カーボンホイール等により8Kg前半を実現。

長い歴史の中で廃れずに生き残ってきた伝統的な形というのは、歌舞伎の型のごとく残していくべきものだと思います。たとえば自転車のホリゾンタル・フレーム(いわゆるダイヤモンド形状)などがそうではないかと。京都の古い建物(京屋)を残していこうと活動されている若い人は立派だと思いますが、私も古い形の自転車に乗り続けることで、旧車の美しさを残すことの一助にでもなればと思う今日この頃です。