My徒然日記帳

スナップショットの感覚で世の中の事象をとらえ、浮かんだ考えを気ままに綴っていきます。

つげ義春と千と千尋の神隠し

つげ義春という漫画家を知るきっかけとなったのは、NHKの芸術祭参加作品ドラマ『紅い花』です。高校生から大学生にかけて放送委員会に属していて、ラジオドラマのコンクールに参加したりした経験があり、芸術祭のドラマに興味を持っていました。中でも『紅い花』は非常に印象深く、NHKアーカイブで観られると良いのですが、マイナーすぎるせいか未だに観ることが出来ません。(NHKさん、是非よろしくお願いします)

 

ドラマは本題の、つげ義春の『紅い花』という漫画作品のドラマ化なのですが、『ねじ式』や『古本屋の少女』などの複数の作品のオムニバス的な構成になっています。そして、むしろ強く印象に残っているのは『ねじ式』に出てくる「金太郎飴、ポキン」の老婆のシーンでした。つげ義春はよく自分の見た夢を漫画として描く手法を採っていたと聞きます。そのせいか、つげ義春の作品を読んでいると自分も夢の中をさまよっている様な不思議な気分になります。そしてその画風は、昭和の時代の暗い影を帯びた様な、なんともいえない独特の雰囲気を持っています。

ねじ式の有名なシーンと、その元になった写真?

 

ところで、このシーンをどこかで見た気がしませんか?そうです。宮崎駿の『千と千尋の神隠し』です。

千と千尋の神隠しのシーン

この風景は、よく台湾の九份(きゅうふん)がモデルだと言われていますが、きっと宮崎駿さんも『ねじ式』を読んで、このシーンをイメージしたのではないかと思います。

台湾の九份

また、湯婆婆の屋敷に架かる橋は、四万温泉の積善館がモチーフになったと言われていますね。私も宿泊しましたが、補修不足で少々朽ちているものの、大正ロマンの香る宿で、夕暮れ時の灯りがともり始めた頃が特に良かったですね。

四万温泉の積善館

 

千と千尋の神隠し』は数ある宮崎作品の中でも特に好きな作品です。そこには、つげ義春の世界と共通した何かが流れていて、夢の中を彷徨っているような、そしていつかどこかで見た懐かしい風景が入り交じった様な不思議な感覚にとらわれる感じがあります。そして、ふと現実に戻ったときに、私が見たあれは一体何だったんだろう...と。夢って脳の疲れを和らげる作用だそうですが、不条理で不可解で不思議の世界ですね。